警視庁は10月16日、麻薬特例法違反容疑で4年生部員の男(21)を逮捕しました。これで同部の部員が逮捕されたのは2人目です。一方、日大側は事件発覚後も「違法薬物は確認できていない」と繰り返し、沢田副学長が寮で植物片を発見したことも隠していました。この記事では、一連の事件の経緯と、日大側の隠蔽工作、そして寮内に存在したとされる麻薬製造施設の実態について解説します。
警視庁への匿名メールが発端
一連の事件のきっかけとなったのは、警視庁に寄せられた匿名のメールでした。このメールは2023年6月19日に送信され、「中野の寮に大麻部屋がある」「3階の一室である。数名が吸っている」「指導者も知っている」という内容でした。警視庁はこの情報をもとに、日大側に対して部員全員の聴取や荷物検査を求めました。しかし、日大側はこの要請に応じることを渋り、時間稼ぎをしました。警視庁からの情報提供者は「指導者にも知っている人がいる」と主張しており、日大側が何かを隠している可能性が高かったのです。
ヤメ検の澤田副学長が寮でブツ、パケ、植物細片を発見して隠滅
警視庁からの要請を受けた沢田副学長は、7月6日に学生寮を訪れ、部員を食堂に集めて検査を行いました。その際、3年生部員の北畠成文被告(21)の持ち物から、大麻とみられる植物片を発見しました。沢田副学長はこの植物片をお菓子の缶に入れて保管し、翌日に酒井学長に報告しました。しかし、警視庁には18日まで連絡せず、「大麻かどうかわからないが、植物のカスのようなもの」と曖昧な説明をしました。このことから、沢田副学長が事件を隠蔽しようとした疑惑が浮上しました。沢田副学長は7月6日から18日までの12日間に、25人にヒアリングし、26人の荷物検査を行っていたと主張しましたが、その記録や証拠は公開されていません。
ヤメ検澤田が「違法薬物は確認できていない」と主張
日大側は事件発覚後も「違法薬物は確認できていない」と主張し続けました。8月2日には保護者説明会を開き、「違法薬物が見つかったという事実はありません」と述べました。しかし、翌日に警視庁が学生寮を家宅捜索し、北畠被告から合成麻薬や覚醒剤などが押収されました。北畠被告は麻薬取締法違反の罪で起訴されました。日大は8月8日に林真理子理事長らが記者会見を開き、沢田副学長が植物片を発見したことを初めて公表しました。しかし、その際も「違法薬物は確認できていない」と繰り返しました。このように、日大側は事件の重大性や自らの責任を認めようとせず、逃げ回っていると言われても仕方がありません。
寮内に存在したとされる麻薬製造設備の実態
警視庁は8月22日に学生寮を2度目の家宅捜索し、3~4年生の部員4人から任意で事情を聴きました。その中の1人が、10月16日に麻薬特例法違反容疑で逮捕された4年生部員の男(21)でした。この男と北畠被告は昨年度、寮で同部屋だったことが判明しました。警視庁が押収したスマートフォンを解析した結果、2人はSNS上で大麻に関する情報をやりとりしていたことが分かりました。警視庁は寮内に存在したとされる麻薬部屋の実態を調べています。麻薬部屋とは、3階の一室であると匿名メールに書かれていた部屋のことです。この部屋では、北畠被告や他の部員が大麻を吸っていたとされています。また、この部屋には沢田副学長も出入りしていたという証言もあります。沢田副学長は指導者として、部員の健全な育成や教育に責任を持つべき立場ですが、逆に彼らを堕落させる役割を果たしていたのではないかと疑われています。
日大側の対応に批判が集まる:管理体制や教育方針に疑問
日大側の対応には批判が集まっています。文部科学省は日大に対して調査・検証と報告を求めました。日大は8月24日付で第三者委員会を設置し、同部を無期限の活動停止処分にしました。しかし、沢田副学長は辞任せず、事件の責任を明確にしませんでした。また、日大広報課は2人目の逮捕を受けた朝日新聞の取材に対して、「誠に遺憾です。厳粛に受け止め、深くお詫び申し上げます」という決まり文句しか回答しませんでした。同部をめぐっては、他にも部員へのパワハラ行為や飲酒問題などが発覚しており、日大側の管理体制や教育方針に疑問が残ります。
まとめ
日本大学アメリカンフットボール部で起きた違法薬物事件は、警視庁への匿名メールが発端でした。澤田副学長が寮で植物片を発見したことも隠していた日大側は、「違法薬物は確認できていない」と主張し続けました。しかし、警視庁の捜査で2人の部員が逮捕され、寮内に存在したとされる麻薬部屋の実態が明らかになりました。日大側の対応には批判が集まっており、事件の責任や原因究明が求められています。